米CIA長官がイスラエルを訪問 人質問題を協議か

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CIA Director Arrives in Middle East Amid Israel-Hamas War
 The Messenger, November 5, 2023

➡5日、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ(William Burnes)長官は、10月7日に始まったイスラム組織ハマス(HAMAS)とイスラエルの紛争を受けて、イスラエルの政府高官や情報当局者と協議するため、イスラエルを訪問した。
➡バーンズ長官のイスラエル訪問は、『ニューヨーク・タイムズ』紙が確認した。その目的は、米国がイスラエルに対して、民間人の犠牲を避け、ガザ地区への援助を許可するとともに、より直接的かつ的を絞ったアプローチでハマスと戦うように説得を試みることだと伝えられている。また、米国はハマスの人質捜索に関してイスラエルを支援しており、今後、CIA長官が中東地域の同盟国との情報協力に対するコミットメントを強化する方針であることも付け加えられている。
➡バーンズ長官は、ガザ地区の状況について協議するため、イスラエルのほか、複数の中東諸国を歴訪する予定になっている。米国政府関係者によると、ハマスの奇襲攻撃後、米国の政府高官が定期的にイスラエルを訪問しているが、イスラエルに何をすべきかを指示しているのではなく、むしろ、イラク戦争の経験を活かして助言を与えているという。具体的に言うと、米国の政府高官は2001年9月の米同時多発テロ事件後、米国が犯したような過ちを繰り返さないようにイスラエルを後押ししているとのことである。
➡『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、バーンズ長官のアラブ諸国訪問は、イスラエルと同等、もしくはそれ以上に重要な意味を持つかもしれないという。バーンズ長官はヨルダン国王のアブドラ2世(Abdullah II)に好かれていると言われているが、イスラエルの苛烈な報復によってガザ地区の病院が爆撃されたことを受けて、アブドラ2世はジョー・バイデン(Joe Biden)大統領との会談をキャンセルした。
➡ヨルダンは米国の緊密な同盟国だが、民族的にはパレスチナ人が大半を占めている国である。また、ヨルダンは現在、イスラエルと和平条約を結んでいる。今後、イスラエルとハマスの紛争によって、ヨルダンは非常に厄介な立場になると見られている。
➡なお、バーンズ長官の正式な訪問日程は明らかにされていない。

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Iran, Taliban arrest three Mossad agents in a joint operation: media
 Shafaq News, November 6, 2023

➡イランの国営メディアが伝えたところによると、イラン当局は5日、アフガニスタンとの国境地帯におけるイラン情報省とタリバンの共同作戦において、イスラエルの情報機関、モサド(Mossad)のために働いていた疑いのあるイラン国籍の市民3人を逮捕したと発表した。
➡逮捕された3人は、アフガニスタンから「イランの標的」に対してドローン攻撃を仕掛ける計画も立てていたと見られている。
➡3人の身元などについては明らかになっていないが、近いうちに身柄をイランに移送し、尋問調査が行なわれる見込みである。
➡イランは以前にも、イスラエルの情報機関で働いていると疑われる人物の逮捕を発表しており、核施設への妨害工作を告発している。
➡イランは2021年以来、アフガニスタンで政権を握っているタリバンを公式に承認していないが、スンニ派強硬派との関係は維持している。

中国・反スパイ法のもとで何が起きているのか

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 日テレNEWS(2023年11月2日)
➡中国で2014年の「反スパイ法」施行後、相次ぐ日本人の拘束。これまでに“スパイ容疑”での拘束は少なくとも17人に上り、うち⑤人が帰国できていない。中国で6年収監の日本人が過酷な拘束の実態を生激白。取り締まりを強化する習近平政権の“思惑”と“誤算”に迫る。

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米ウクライナ支援、一部財源が枯渇 「今後は小出しに」
 産経新聞(2023年11月4日)

➡米政府は3日、ロシアの侵略が続くウクライナへの4億2500万ドル(約633億円)の追加軍事支援を発表した。この結果、議会が承認済みの資金枠「ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)」が枯渇し、今後は大統領の権限で米軍在庫から供与できる枠組みから小出しに支援を続けるとしている。

欧米、ウクライナに停戦促す動き 米NBC報道
 産経新聞(2023年11月4日)

➡ロシアによるウクライナ侵略で、米NBCニュースは4日、複数の米当局者らの話として、ウクライナを支援する欧米諸国がウクライナ側と停戦について「ひそかに」協議を始めたと伝えた。ウクライナ軍の反攻が進まず戦局が膠着(こうちゃく)していることや、ウクライナ軍の疲弊、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスとの交戦などを背景に、欧米側のウクライナ支援の余力が低下していることが背景だとしている。

難民増、寛容方針に限界 右傾化鮮明に―独
 時事ドットコム(2023年11月4日)

➡移民や難民の受け入れに寛容な姿勢で知られるドイツが、水際対策の強化を打ち出し始めた。難民の記録的な増加に直面して、ショルツ左派政権の支持離れに歯止めがかからず、政策の修正を余儀なくされている。

ウクライナ「脇に追いやられている」 ガザ情勢注目で懸念―ゼレンスキー氏
 時事ドットコム(2023年11月5日)

➡ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、首都キーウ(キエフ)で記者会見し、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が国際社会の耳目を集める中、「ウクライナは脇に追いやられている」と述べ、対ウクライナ支援低下の可能性に懸念を示した。ウクライナでの戦争が注目されないようにすることが「ロシアの狙いの一つだ」とも述べ、「この困難を乗り越える」と強調した。

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MI5 and SAS refused Israel help on counter-terrorism under Margaret Thatcher
 by Phil Miller (Declassified UK's chief reporter)
 Declassified UK, November 1, 2023

➡イギリスのリシ・スナク(Rishi Sunak)首相は、「いかに困難であっても、我が国の利益を増進するために必要なこと」を行なうことによって、マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)の遺産を受け継いでいくと宣言し、そのポストに就いた。だが現在、ガザ地区で起きた紛争に関して言えば、スナク首相はサッチャー時代よりもはるかにイスラエル寄りに見える。
➡イギリスの艦船、偵察機、海兵隊を地中海東部に派遣することは、スナク首相がイスラエルにガザ地区を空爆する白紙委任状を与えたことを強く示唆している。その政策は、アラブの同盟国との関係やハマス(HAMAS)に拘束されているイギリス人人質の安全など、この地域におけるイギリスの利益を危うくしかねないところがある。
➡実際、そうしたスタンスは、サッチャー時代にはイギリスの外交官や安全保障当局者が取りたがらなかったものである。
➡機密解除された政府文書が明らかにしたところによると、1986年、イスラエルのシモン・ペレス(Shimon Peres)首相からの要請に対して、イギリスがいかに躊躇していたのかが分かる。当時、イギリス政府関係者は、航空会社のセキュリティや人質救出に関して、イスラエルとの協力を拡大することは、アラブ諸国や米国との関係さえも危うくしかねないという懸念を抱いていた。
➡とくに外務省は、モサド(Mossad)がイギリスの偽造パスポートを使って秘密工作を行なっていることに頭を痛めており、イスラエルに駐在するイギリス外交官は、「イスラエルのセキュリティ・サービスは自分たちだけの法律だ」とし、彼らが国際法を無視することに不満を漏らしていた。そのため、イギリスは、モサドによる未申告のスパイ活動が明らかになったとして、1987年から1988年にかけてイスラエル軍との連絡を絶ったこともある。
➡サッチャーは、テロリストの資金追跡といった「非論争的な問題」についてはイスラエルと協力することに同意したものの、人質救出や爆弾処理に関しては、その協力を深めることに応じなかった。なぜなら、それらはきわめてデリケートで微妙な分野であり、イギリスの関係省庁はイスラエルとの協力に熱意を示していなかったからである。たとえば、サッチャー政権で外相を務めたジェフリー・ハウ(Geoffrey Howe)を補佐したレオナルド・アップルヤード(Leonard Appleyard)は、「救出技術に関して英国防省は過去において、アラブ諸国との価値あるつながりをリスクに晒してまで、イスラエルとの交流から得られるものはほとんどなかったという見解を持っている」と警告を発していた。
➡また、テロリストの資金調達に関しても、ハウは「イスラエルがこの分野での協力をイギリスと一層、進めることを明らかにすれば……イギリスは他の中東諸国において多大な困難を被ることになる」と述べている。なぜならイスラエルとテロ対策で協力していることが明らかになると、アラブ諸国の情報機関、とくにイギリスと緊密な関係にあるヨルダンとの連携から享受している恩恵を失い、アラブ人の目から見れば、テロ行為に対するイスラエルの報復と結びつけられる危険性があるからである。
➡実際、イギリスにはパレスチナを強く支持するアラブ諸国から来た人たちを多く受け入れている。イギリスがイスラエルに深く肩入れすれば、そうした人たちがイギリス国内において何らかの行動に出るおそれがある。10月7日、ハマスの奇襲攻撃が実行されたとき、英保安局(MI5)のケン・マッカラム(Ken McCallum)長官は、「中東での出来事によってイギリス国内のある種の人びとが何らかの攻撃を試みる可能性について細心の注意を払っている」と述べていることからも、そうした懸念がけっして絵空事ではないことが分かる。
➡ところが、スナク首相は8000人以上の市民を殺害したイスラエルの報復作戦を支持すると公言した。また、ガザ地区でハマスに拘束されているイギリス人の人質を解放するために、イスラエルとの協力を深めつつあるSASチームを派遣したとも伝えられている。こうしたイスラエル寄りの姿勢は、サッチャー時代には考えられなかったことである。
➡たとえば、機密解除された政府文書によると、ペレス首相は1986年、対テロ顧問を務めていたアミラム・ニール(Amiram Nir)をイギリスに派遣し、イギリスとイスラエルの特殊部隊同士での交流を進めたいと提案したが、イギリス側から拒否されている。その理由として、イスラエルは都合のいいときにリークする傾向があるからであり、ハウは「イスラエルとのテロ対策には細心の注意を払うように」と忠告を与えていた。
➡イギリスは、イスラエルが地対空ミサイルで旅客機を守ることについて支援するのも消極的だった。イギリスもイスラエルも高度なデコイ装置を米国から入手していたが、その件で両国が話し合うことはなかった。MI5は外務省に対して、「イスラエルとの協力は得策ではない」とし、そのような技術を第三国と話し合う許可を米国から得ていないと警告した。
➡さらに1986年10月、モサドがイギリスの偽造パスポートを使っていることが発覚し、イギリスにおけるイスラエルへの疑念は一層、深まった。ニールは、イスラエルのパスポートが使えない作戦を進める上で現実的な判断として行なったものであると説明したが、イギリス側は「そのような行為によって海外の利益や国民に深刻な影響を与えかねず、けっして正当化できない」として叱責した。
➡イスラエルは、1973年と1979年に偽造したイギリスのパスポートを使っていたとして警告を受けていたので、この問題はイギリス側で深刻に受け止められていた。ニールは、「テロ対策分野での協力関係を発展させる試みにおいて、大きな後退を強いられたことに憂鬱そうに認めた」のである。

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