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Qatar: Eight Indians sentenced to death over Israel spy charges
 Middle East Monitor, October 27, 2023

➡『フィナンシャル・タイムズ』紙によると、カタールの裁判所はイスラエルのためにカタールの潜水艦計画に関する機密情報を盗んだとして、8人の元インド海軍軍人に対して死刑判決を下した。
➡今回、死刑判決を受けた8人の元インド海軍軍人は、カタールで軍隊への訓練を行なう民間企業、アルダーラ・グローバル・テクノロジーズ&コンサルタンシー・サービス(Al-Dahra Global Technologies & Consultancy Services)で働いていた。アルダーラは、ステルス特性を持つイタリアのミゼット潜水艦に関わる極秘プロジェクトに携わっていたようである。
➡カタールの警察当局は2022年8月、その8人を逮捕したが、罪状に関して明らかにしていない。各種メディアが関係者に取材したところでは、逮捕された8人は、イスラエルに機密情報を漏洩していた疑いで起訴されたとの見方が強い。カタール政府の報道官は、今回の死刑判決に関してもコメントしないと述べている。
➡カタールで死刑判決が出るのは珍しく、直近だと2020年、その前は2003年になるという。
➡インド外務省は27日、死刑判決を非難するとともに、判決を覆すためにあらゆる法的手段を検討するとの声明を発表した。

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Are Spy Satellites Really Worth the Millions?
 by Alex Hollings (Writer)
 Naitional Interest, October 25, 2023

➡ポップカルチャーに支配された今日の世界で、米国の国防・情報機構はスパイ衛星で世界の隅々まで静かに監視し、米国の主権や利益を脅かす脅威が現れたら、それを排除するために高所からデータを収集していると考える人が多い。だが、実際のところ、スパイ衛星が提供できる諜報活動の価値は非常に高いにもかかわらず、極めて限定的なものでもある。現在のスパイ衛星は予測可能性が極めて高く、軌道上に留まることが多い。また、地上や宇宙からのさまざまな攻撃に対して脆弱である。これらすべてが、拮抗する相手に対するあらゆる作戦を支援する上で、その有効性を制限してしまうのである。
➡スパイ衛星がアメリカのあらゆる情報収集ニーズに応えられるという考え方は、ここ数十年の大衆文化(1998年の映画『エネミー・オブ・ザ・ステート』参照)と、世界的に有名な諜報機関がその疑惑の能力に関する噂をわざわざ払拭しようとしないことが結びついた結果かもしれない。米空軍高等航空宇宙研究所(U.S. Air Force School of Advanced Air and Space Studies)のジェームス・キラス(James Kiras)教授は、「残念ながら、世間一般の認識は報道だけでなく、現代の映画によっても左右される。そして、どういうわけか、我々は永続的な監視を維持することができないという考えや、たとえば雲などがターゲットとの間をいどうすることによって、重要な期間、監視できなくなる可能性があるという考えは考慮されない」と語っている。
➡正確な数字を把握するのは難しいが、米国は現在、国家偵察局(NRO)によって339基から485基のスパイ衛星をある程度、軍事利用するために運用していると報告されている。この数は、71基を保有するロシアや63基と報告されている中国のような国々をはるかに上回る。たしかに数だけ見れば、米国はロシアよりも多いが、すべてのスパイ衛星が同じように地表の有用な写真情報を収集する機能を備えているわけではないし、スパイ衛星が軌道に乗るまでに最先端の技術が搭載されることもほとんどないのが実情である。
➡米国のもっとも高性能なスパイ衛星は、10億ドルもする大型のプラットフォームであることが多く、設計から軌道に乗るまでに10年もかかる。このような非常に高価なシステムは、何年にもわたって機能し続ける必要があるため、高度な技術を投入する際には、当然とは言えない耐久性と信頼性が要求される。その結果、スパイ衛星の設計には、その時点で実績のある最新のシステム(多くの場合、十分な年数が経過し、実績のある技術で構成されている)が組み込まれ、打ち上げまでにさらに10年の設計・開発作業が行なわれる。そのため、打ち上げ当日には、搭載されているシステムは、最新かつ最高の技術に比べるとかなり古くなっていると考えられる。
➡また、最先端のスパイ衛星でさえ、いくつかの重大な制限がある。何十年もの間、多くの政府は、軌道上の上空からの視線から秘密を隠す技術を完成させてきた。その最たる例が、ネバダ州にあるエドワーズ空軍基地の管理下にあるグルーム・レイクという乾燥した湖底の秘密基地、通称エリア51である。
➡エリア51(他にもさまざまな名称がある)は、1955年に米中央情報局(CIA)とロッキード社の伝説的なスカンクワークスによって初めて設立された。年月が経つにつれ、ロッキード社の貧弱な施設は、秘密施設全体を運営するのに必要な、より大きな格納庫やその他の恒久的な建造物へと膨れ上がっていった。それ以来、エリア51では、SR-71ブラックバードやF-117ナイトホークのような航空史上、もっとも多くの航空機がテストされた。また、ボーイングのYF-118Gバード・オブ・プレイのような、あまり知られていないが間違いなくさらにエキゾチックな機体も数多くテストされてきた。
➡米国は1998年までエリア51の存在を正式に認めなかったが、施設内で働く職員は常にその存在が公然の秘密であることを知っていた。1961年、ソ連は初のスパイ衛星ゼニット2号を打ち上げた。それから間もなく、米国の情報機関はエリア51の職員に、自分たちが上空から監視されていることを通告し始めた。だが、スパイ衛星に搭載される燃料には限りがあるため、予測可能な飛行ルートで移動することが多い。したがって、エリア51の職員は地球を周回するソ連のスパイ衛星を追跡し、その衛星が頭上を通過するときに、米国の航空機が見えないことを確認すればよかった。
➡とはいえ、ソ連のスパイ衛星が進化するにつれ、エリア51の職員は新たな課題に直面した。それは、赤外線撮影である。駐機場で太陽に照らされた飛行機は、その下に影を落とし、滑走路に温度差を作り出した。そのため、赤外線画像によって可視化することができたのである。そこでエリア51では、ターボエンジンの近くにポータブルヒーターを置き、影によって生じる温度差をなくようにした。もちろん、今ではもっと高性能なセンサーが搭載されているが、それでも多くのケースにおいて、対処可能であることは変わらない。
➡現在、米国のスパイ衛星が抱える問題は、その相対的な古さである。すなわち、敵対国からの連動攻撃やサイバー攻撃に耐えうるように作られていないことである。もちろん、以前から米国のスパイ衛星が破壊されるおそれがあることは認識されていたが、ロシアや中国が近年、対衛星ミサイルを開発し、その実験に成功していることから、米国の衛星インフラにおける脆弱性が高まっているという懸念が出ている。
➡スパイ衛星は、一般に認識されているほどすべてを見通せるものではないし、地上のレーザーや他の軌道上の資産からさまざまな攻撃を受けるかもしれない。スパイ衛星はミッションの計画や悪質な行為者の監視において重要な役割を果たしているが、それはスパイ衛星だけで完結しているものではない。けっして万能なものではないのである。

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Retired colonel receives 20-year prison term after spying for China
 Focus Taiwan, October 25, 2023

➡台湾高等法院高雄支部は2日、現役の軍将校6人をリクルートし、少なくとも8年間にわたって中国の指導のもとでスパイ活動を行なっていたとして、台湾空軍の退役大佐に懲役20年の判決を言い渡した。
➡劉という名の退役大佐と6人の将校は今年1月、国家機密を中国政府に渡したとして国家機密情報保護法違反で起訴された。
➡劉被告は2013年、軍を退役した後、ビジネスのために中国に渡った。そこで中国によってリクルートされ、台湾海軍・空軍の現役将校を取り込む任務を請け負うことになった。
➡その後、劉被告は台湾に戻り、6人の現役将校を中国のためにスカウトした。台湾の検察当局によれば、劉被告はまた、軍用機や軍艦の詳細な機能を含む軍事情報を中国に提供し、その見返りとして金銭的な報酬を受け取っていたという。
➡判決では劉被告に懲役20年が言い渡されたほか、劉被告が得た犯罪での収益1670万台湾元も没収されることになった。また、6人の軍将校に関しては、5人が6カ月から20年6カ月の実刑判決を受け、1人は無罪となった。

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Five Eyes spies bring their China warnings in from the cold
 by Matthew Brooker (Bloomberg Opinion columnist)
 Stars and Stripes, October 24, 2023

➡本来、スパイは影で活動するものであり、ボーイ・バンドのように世界中のメディアの前でパレードするものではない。だが、米国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関トップがカリフォルニアのステージに並び立つ姿は、米ソ冷戦におけるスパイ合戦の時代から世界がいかに変化したかと印象づけるものである。
➡米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は、スタンフォード大学で開催されたファイブ・アイズ加盟国の第1回公開サミットで、中国の産業スパイがファイブ・アイズ加盟国の技術革新に「前例のない脅威」をもたらしていると語った。英保安局(MI5)のケン・マッカラム(Ken McCallum)長官はBBCに対して、中国のスパイ活動は「壮大な規模」であると語った。さらに豪保安情報機構(ASIO)のマイク・バージェス(Mike Burgess)長官は、中国が「人類史上、もっとも持続的かつ大規模で巧妙な知的財産と専門知識の窃盗」を行なっていると非難した。
➡策略とミスディレクションは、情報機関の定番ツールである。したがって、今まで見られなかった方法で何かを公表した場合、彼らの意図を額面通りに受け取るべきか、それとも見た目以上のものがあるかを問うのは当然のことだろう。少なくとも何らかの秘密工作が必要であることは間違いない。要するに、ここでは問うべきは、駆け引きの材料になっているものは何かというである。
➡ファイブ・アイズ加盟国では、透明性を高めようとする動きが続いている。たとえば、イギリスではMI5のマッカラム長官が2020年、公開演説を初めて行なったことが話題になった。ノッティンガム大学のダン・ローマス(Dan Lomas)准教授によれば、これは10年前に起きたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)の内部告発でダメージを受け、国民の信頼を取り戻そうとする努力を反映している部分があるという。また、情報環境の変化も影響している。ソーシャル・メディアの力が増したことによって、情報当局が物語を形成したり、偽情報に対抗したりすることが難しくなってきた。国民の支持を得るために、情報機関は今、自分たちが何をしているのか、なぜそうするのかを説明することが必要になってきたのである。
➡情報だけでなく、軍事・安全保障に関連する技術も同様である。米ソ冷戦の最盛期には、パワーバランスに影響を与えるかもしれない重要な技術のノウハウは、国家にコントロールされやすく、それを扱う人間の数も少なかった。だが、人工知能、量子コンピュータ、合成生物学など、今後、人類の未来を形成するであろう技術革新は現在、何千もの小さな企業に分散されている。そのため、ファイブ・アイズのサミットは、米国のイノベーションの中心であるシリコンバレーで開催されたのである。
➡ファイブ・アイズが直接、関心を持っているのは、企業そのものである。つまり、もっと情報保全に注意を払い、協力するように呼び掛けているのである。一党独裁体制によって政府が民間部門に対してはるかに大きな影響力を持つ中国は、ここにおいて明らかに優位に立っている。
➡だが、それ以上に重要な目的は、世論に影響を与え、政治家から発せられる複雑なメッセージを押し戻すことだろう。中国を安全保障上の脅威と見なすことは、とくに目新しいものでも議論の余地があるものでもないが、各国とも市場やビジネスチャンスとしての中国にも関心を寄せており、このことが水を濁らせているのである。
➡その点で今回、ファイブ・アイズが中国の脅威を強調したのは、自分たちの立場を明確にするためである。中国は、開かれた社会というリベラルな価値観を根底から敵視し、ルールにもとづく世界秩序を権威主義体制に都合の良いように作り変えようとする政党によって運営されている国である。中国が米国の主導するシステムのおかげで急速に発展していた時代において、楽観主義者はとくに不信感を抱くことががなかったが、そもそも中国とはそういう国なのである。昨年、中国とロシアの間で「無制限」のパートナーシップが交わされたことを思えば、もはやそうした楽観主義の立場をとることは不可能であろう。
➡こうした状況はけっして喜ぶべきではない。情報機関が国民に直接、アピールする必要性を感じない世界の方がおそらくより良いものだろう。MI5のマッカラム長官は以前、「我々の成功は、新聞の見出しに何も載らないことであり、それをもって皆さんは我々の成功を知るだろう」と述べたことがある。それまでの間、彼らは傾聴に値するメッセージを発するのである。

スーザン・ゴードン(元国家情報副長官)、突如辞任した理由を語る

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 Center for Strategic & International Studies, October 24, 2023
➡Hadeil Ali for this week’s episode on national intelligence with the Honorable Susan M. Gordon, former Principal Deputy Director of National Intelligence. The pair discussed how a zoology degree led to a decades-long career at the CIA, her shock resignation in 2019, and why she thinks women can have it all.

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