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Attack TikTok, cut its Chinese Communist Party ties
 by Clifford D. May(President, Foundation for Defense of Democracies)
 Washington Times, March 19, 2024


➡1920年代、情報操作の先駆者はソ連共産党だった。それから100年後、中国共産党は偽情報をハイテク科学へと発展させた。
➡ソ連がどのようにプロパガンダを行なったのか、多くの人たちが知っているだろう。ソ連の目標を達成するために、何千人にも及ぶKGB工作員が世界中のジャーナリストに偽情報を伝え、流布させていたのである。それこそ米中央情報局(CIA)がジョン・ケネディ(John F. Kennedy)大統領を暗殺したとか、米国がエイズを作ったとか、米国人の富豪が南米の子どもを養子にして臓器を摘出しているとか、そういう類の話である。
➡だが、中国共産党の習近平国家主席が1億7000万人のユーザーを抱え、米国で支配的なソーシャルメディアになった動画投稿サービス「TikTok」によって何を成し遂げるか、ソ連は夢にも思わなかっただろう。
➡TikTokは、新型コロナウイルス、ロシアのウクライナ戦争、ハマスのイスラエル戦争などの偽情報を流した。オサマ・ビンラーディン(Osama bin Laden)の世界観を教育水準の低いZ世代のインフルエンサーに押し付け、米国の国境を不法に越える方法に関する動画を拡散した。
➡一方、中国政府によるウイグル人やチベット人への迫害、香港に保証されていた権利の撤廃、台湾への脅威に関するニュースは抑圧されている。米国内の分裂や不和は、TikTokのアルゴリズムによって悪化している。また、TikTokは検索履歴からキーストロークのパターンまで、米国人に関して前例のない規模でデータを収集し、それを悪意のある目的のために解析することができる。
➡米下院は先日、米国内でのTikTok使用を禁止する法案を可決した。そのなかには、TikTokの親会社であるバイトダンス社に対して6カ月以内の売却を迫る内容もあった。だが、バイトダンス社はTikTokで純利益を上げたことがないにもかかわらず、TikTok売却を拒否する姿勢を示している。これは、TikTokが中国政府にとって重要な問題であり、独立した企業の利益にとどまらないことを物語っている。
➡もしTikTokが売却されなければ、米国内での使用は禁止されるだろう。だが、もしTikTokが中国に支配されていない企業に買収されれば、TikTokは今後も経済活動を自由に行なえるだろう。多く投稿されているダンス動画が危険にさらされることもない。
➡法案に賛成した352人の下院議員(反対は65人)は称賛に値する。バイトダンス社は法案を潰すために、数百万ドルを投じてワシントンのKストリート(シンクタンクやロビイストの事務所が多くある地域)から数十人のロビイストを雇った。また、TikTokはユーザーに対して議会に怒りの電話をかけるように呼び掛けた。その結果、数千人が実際に電話をかけたといわれている。
➡共和党のマイク・ギャラガー(Mike Gallagher)下院議員は、「これはTikTokへのメッセージである。すなわち、中国共産党と手を切るか、米国のユーザーからのアクセスを失うかということだ。……米国最大の敵国が米国の支配的なメディアをコントロールすべきではない。それはロシアであろうと中国であろうと同じだ」と語る。また、民主党のラジャ・クリシュナモオルティ(Raja Krishnamoorthi)議員も「今回の法案は、大統領が危険なアプリに売却を迫り、敵国から米国人の安全とプライバシーを守るために必要な手段を確保するためのものである」と述べている。
➡とはいえ、TikTokの使用禁止は憲法修正第1条(表現の自由)に反することになるのではないかという疑問が出るかもしれない。だが、米国の法律では、外国人による放送局の所有はすでに制限されている。冷戦時代、もしソ連がAP通信を買収するとなったら、米国はそれを許しただろうか。
➡2020年、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、中国共産党がTikTokを利用して「連邦政府職員や請負業者の居場所を追跡し、脅迫のための個人情報の書類を作成し、企業スパイ活動を行なう」可能性があると正しく警告した。そして大統領令を使って、バイトダンス社にTikTok売却を強制しようとしたが、それは結局、裁判所によって阻止された。
➡現在、トランプ氏は見方を変えたようだが、トランプ政権で財務長官を務めたスティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)氏は、TikTokを買収しようというコンソーシアムを運営している。もしかすると、それがトランプ氏の見方を再度、変えるかもしれない。

香港、国家安全条例が成立 経済活動の萎縮拡大のおそれ

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国安条例、異例のスピード成立 統制強化に懸念―親中派独占、抗議広がらず・香港
 時事ドットコム(2024年3月19日)

➡香港立法会(議会)は19日、スパイ行為などを取り締まる「国家安全条例」を全会一致で可決した。香港政府は、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開会中の今月8日に立法会に条例案を提出。立法会は政府を支持する親中派がほぼ独占しており、審議開始からわずか11日後の異例のスピード成立となった。条例は23日から施行される。

香港国家安全条例が可決 23日に施行、海外ビジネスに影響
 産経新聞(2023年3月19日)

➡香港立法会(議会)は19日、政府が早期制定を目指して提出した「国家安全条例」案を可決し、同条例は成立した。23日に施行される。香港に拠点を置く外国企業・組織の活動も取り締まり対象で、香港のビジネス環境への悪影響が懸念されている。
➡同条例は、中国によって2020年に導入された香港国家安全維持法(国安法)を補完するもので、国家秘密の窃取やスパイ活動、扇動、海外勢力による香港への干渉などの罪が規定された。大半が香港域外での活動などにも適用される。最高刑は終身刑。

香港国家安全条例「あいまい」「厳罰化」特徴 制定でさらに萎縮広がる恐れ
 産経新聞(2023年3月19日)

➡立法会の審議などで指摘されたのは、条文などの定義のあいまいさだ。
➡たとえば「海外勢力」について外国政府や地方当局、政党、政治組織、国際組織などと規定されているが、国際組織には非政府組織(NGO)などさまざまな団体を含めることが可能。海外勢力干渉罪では、こうした勢力が中国・香港の政策や立法、司法に影響を与えたり、選挙に干渉したりすることを禁じている。
➡「国家秘密」もあいまいだ。中国や香港の重大決定、科学技術、中国国防・外交・国家安全の秘密に加え、中国や香港の経済・社会発展に関する秘密と規定されている。経済・社会発展の秘密とは何を意味するのか判然としない。さらに、国家秘密か否かを認定するのは香港トップの行政長官と定められている。

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Russia’s election-manipulation efforts aim undermine Ukraine aid, NSA says
 Defense One, March 18, 2024

➡米国家安全保障局(NSA)のロブ・ジョイス(Rob Joyce)長官は、15日に行なわれた記者団の取材に対して、少なくとも2016年以来、米国の選挙を揺さぶるために活動してきたロシアは、今年はウクライナに対する米国の政治的支援を弱体化させることに焦点を当ててくるだろうと語った。
➡リトアニアのシンクタンク、「デバンク・オルグ(Debunk.org)」が行なった分析によると、ロシアは自国の国益を追求するために、年間15億ドル以上を世論工作に投じている。その資金は、ロシア・トゥデイ(Russia Today)のようなメディアを通じてプロパガンダを流したり、ソーシャルメディアで偽のアカウントを立ち上げたりするために使われている。
➡だが、X(旧ツイッター)は2022年、イーロン・マスク(Elon Musk)氏によって買収されてからロシアや中国による情報操作からサービスを守るための安全装置が大幅に少なくなっていると、元従業員らが警告を発している。実際、ある分析によると、先日、ロシアの反体制活動家、アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が死亡した件に関するジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領のツイートに関連するやりとりの約30%が偽物だったという。
➡だがロシアは、2016年の米大統領選挙で民主党全国委員会の電子メールをハッキングし、それを共和党候補者だったドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領に有利になるように使用するなど、特定のシナリオを強化するために情報を利用することがある。今月初め、ドイツはロシアがウクライナを支援する西側諸国の連携を乱すために通信傍受の情報を使ったと発表した。
➡ジョイス長官は、チャットGPTのような一般向けの新しいAIツールが出てきたことによって、ロシアが偽情報活動の規模を拡大することができるようになると見ている。「悪意ある影響を与えようとするアクターの多くは、英語を母国語としていないが、彼らが発信するメッセージには、文法的な誤りを見いだすことができないものがある。今、今や……生成AIの存在がそうした誤りを直してくれるからである。その点である一人の人間が、もっともらしく信憑性のあるように見える資料を大規模に作成できるのである」という。
➡最近、AIがバイデン大統領になりすまし、予備選での投票を思いとどまらせる詐欺電話(robocall)をかけるという事案が見つかった。ジョイス長官は、こうした仕掛けが今後も増えるだろうと指摘している。

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Exclusive: Musk's SpaceX is building spy satellite network for US intelligence agency, sources say
 Reuters, March 17, 2024


➡ロイター通信が複数の情報筋に取材したところによると、宇宙事業を手掛ける米企業、スペースX(SpaceX)社は、米国の情報機関と契約を結び、何百もの偵察衛星のネットワークを構築しているという。
➡このネットワークは、偵察衛星を管理する国家偵察局(NRO)との間で、2021年に締結された18億ドルの契約にもとづくものであり、スペースX社のスターシールド事業部門(Starshield business unit)によって構築されている模様である。
➡取材に応じた情報筋は、この計画はSpaceX社の米情報・軍事プロジェクトへの関与の大きさを示しており、地上部隊の支援を目的とした巨大な地球低軌道衛星システムに対して、国防総省が積極的に投資していると述べている。今後、計画が発展すれば、米国は地球上のほとんどあらゆる場所で潜在的なターゲットを素早く発見する能力を大幅に向上させるものと考えられている。
➡また、スペースX社とNROの契約は、バイデン政権と衝突し、ウクライナ戦争でのスターリンクへの接続をめぐって論争を巻き起こしたイーロン・マスク(Elon Musk)氏の会社がNROから信頼されていることを示すものとも言える。
➡構築するネットワークは、数百の偵察衛星が低軌道で群れをなして活動し、地上のターゲットを追跡しつつ、そのデータを米情報当局や軍当局と共有することができる。原理的には、米政府は地球上のほぼすべての場所で地上の活動を継続的かつ迅速に画像化し、情報活動や軍事活動を支援することができるようになる。
➡NROは、高度な衛星システムを開発する使命があること、ならびに他の政府機関、企業、研究機関との協力関係について認めたが、この計画にSpaceX社がどの程度、関与しているのかは明らかにしなかった。

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