宮田敦司_日本の情報機関は世界から舐められている












 情報活動の現場を知る自衛隊の下士官が実体験をもとに書いた本ということで、その実情をどこまで明らかにしているのかという点で興味を引いたわけですが、深い部分については語られておらず、ちょっと肩透かしを食らったような感じです。

 自衛隊の情報活動が現在、抱えている問題点として、電波情報への偏重(人的情報活動の軽視)、友好国からの情報に対する過剰な信頼、分析部門の予算・人材不足、公開情報の重要さなどが挙げられています。

 ただ、こうしたことは現場レベルではなくても、これまでに何度も指摘されてきたことですし、取り立てて目新しい問題提起ではないように思います。せっかくならもっと現場でしか発見できないような問題を提示してほしかったですね。

 あるいは、以前から同じような問題点が指摘されているにもかかわらず、いつまでたってもそれが改善されていないということなら、日本の情報活動をもっとも舐めているのは、アメリカや中国、ロシア、北朝鮮といった国々ではなく、本当は日本政府自身なのかもしれませんね。そうであるからこそ、予算も人員も不足した状態が続いているのではないかと疑って見てしまいますね。

 ところで、著者が自衛隊調査学校を出たころ、航空自衛隊には「朝鮮語の語学員がゼロで、かろうじて朝鮮語が使える情報幹部(語学幹部)が市ヶ谷にいただけだった」(p. 85)というのは本当なんでしょうか。著者経歴から推測すると、時期的には1990年代半ばあたりだと思われますが、テポドン・ショック(1998年)の前のこととはいえ、さすがに心許ないこと、この上ありません。

 その後、人員を増やしたそうですけど、当時の航空自衛隊における北朝鮮へのノーマークぶりをよく表したエピソードといえそうです。