昔から卒業ソングに興味がなくて、卒業するメンバーやその人を推しているファンにとっては思い入れがあるのかもしれませんが、まぁ、そういう思い出作りのような意味以上のものはないだろうという印象があるんですね。

 今回の「Y字路の途中」も、はるなん(飯窪春菜)の卒業に合わせた楽曲で、人生の岐路をテーマにした内容です。そのテーマ自体は、こういう卒業ソングでは定番ですし、実際、そういう楽曲は掃いて捨てるほどありますから、今さら取り立てて何か言うべきことはありません。

 ただ、この楽曲によって、改めてはるなんの存在の大きさについて思いを致すところがありますね。研修生出身がハロプロの趨勢を占めるなか、はるなんはオーディションからメンバーになり、歌もダンスも不得意で当初、その下手さ加減を周囲からいじられたりしていました。

 それがいつの間にか、ダンスで悪目立ちすることもなくなってきたし、歌もソロはけっして多くなかったですけど、前に比べて随分、良くなっているじゃんとファンの誰もが認めるレベルにまで成長しました。

 そして多くの人が、ラジオで鍛えられたはるなんのトーク技術を褒めるでしょうし、彼女自身、そこに活路を見出したという部分もあるでしょうですけど、個人的に見逃すべきでない彼女の貢献として、「品位」というものをモー娘。にもたらしたことが挙げられるのではないかと思うんです。

 正直、それまでバラエティー番組ではわりとガサツなイメージがあったモー娘。でしたが、彼女が入ってトークを回すようになってから落ち着いたムードが全体的に生まれた気がします。もちろん、面白おかしくやるし、はしゃぐときははしゃぐし、ふざけるときはふざけるんですけど、どこか一線、引いているという感じでしょうか。

 でもそれが、モー娘。に大人の要素を含ませることにつながって、わちゃわちゃするだけでなく、しっとりとした印象を見ている人に与えました。はるなんは、そういう雰囲気をもたらしたという意味で不可欠な存在だったと思うわけです。

 今回の楽曲のMVを見ても、はるなんがオーディション時に語ったとされる「モーニング娘。をオシャレにしたい」という言葉が今もなお、生きているように感じます。その点で、このMVは実にはるなんらしい映像になっていると思うのであります。