1999年から2005年まで米国家安全保障局(NSA)長官を務めた、マイケル・ヘイデン氏が今年春、著書を出しまして、その内容を踏まえた講演の模様を収めた動画が公開されていましたので、貼っておくことにします。

 アメリカでは、情報機関のトップやトップを務めた人物がこうして一般の聴衆の前に出て、講演することが珍しくありません。個人的な印象として、これはとてもいいことだと思います。

 情報機関と言えども、ずっと陰に潜んでいればいいわけではありません。ちゃんと自分たちの活動を国民に説明し、理解を求め、支持されるように努力を払うことは当たり前でしょう。そういう努力を怠っておいて、国民は我々を理解してくれないといっても何をかいわんやと思ってしまいます。

 実際、日本では内閣情報調査室のトップや自衛隊情報本部のトップが一般の聴衆に向けて講演することなんて滅多にないでしょう。そもそも誰がトップなのか、ほとんどの人が知らないのではないでしょうか。

 しかし情報機関は、ともすれば、権力の手先となって国民生活に介入するおそれがもっともある組織です。

 もちろん国民は、情報機関の活動を現在、信頼しているわけですが、その信頼にあぐらをかいて、国民は知らなくてよいだろうと考えているならば、民主主義国の情報機関としていちじるしく意識が低いと言わざるを得ないし、その意識の低さが情報機関の不祥事を生み、民主主義の根幹を揺るがす政治的混乱を引き起こすことになります。

 日本も近く、こういう場で情報機関のトップが語れるようになるといいのですが、なかなかそういう雰囲気にはならないですね。アメリカの民主主義が成熟していると褒めたたえるつもりはないですけど、少なくともこの点に関しては、日本はあまりにも遅れていると思いますね。